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甲状腺の病気について

甲状腺とは

 甲状腺は首の前側にある臓器で、甲状腺ホルモンという体に元気をくれるホルモンを作っています。すなわち車でいうアクセルのような働きをしています。

 

甲状腺の病気

 甲状腺の病気には、甲状腺ホルモンを多く作りすぎる病気や、逆にホルモンが減ってしまう病気があります。前者を甲状腺機能亢進症、後者を甲状腺機能低下症と言います。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても問題になるため、ホルモン値に異常がある場合には治療が必要です。

バセドウ病について

 バセドウ病は自己免疫によって甲状腺が刺激されることで、甲状腺ホルモンを過剰に作ってしまう病気(甲状腺機能亢進症)です。甲状腺ホルモンが多すぎると、動悸や発汗、下痢、体重減少、さらに悪化すると心不全やクリーゼを起こして命に関わることがあります。

 多くの場合は採血検査とエコーで診断が可能です。甲状腺ホルモンが増加していることに加えて、TSH受容体抗体が上昇していれば診断は確定します。エコーでは甲状腺の腫大や血流増加が見られます。これらの検査で診断が難しい場合には、核医学検査が必要になります。

 バセドウ病の治療には以下の3つがあります

①飲み薬

 日本で最もよく行われている治療法です。メルカゾールとプロパジールという2種類の薬がありますが、通常は前者が使われます。飲み薬はバセドウ病の診断がついた当日から開始することができ、2〜3週間で効果が現れます。最初は多めの量から開始しますが、徐々に減量していきます。2年ほどで中止できる患者さんもいますが、半数以上は継続が必要となります。飲み薬で安定しない場合や患者さんの希望がある場合は、他の治療法へ変更することもあります。

 副作用として肝障害や痒み、皮疹、関節痛などがありますが、最も注意が必要なのは顆粒球(白血球)減少です。顆粒球が少なくなると、細菌等への抵抗力が低下します。このような状態になると発熱・のどの痛みのようなかぜ症状が、実は重症感染症による可能性もあります。副作用は全員に起きるわけではありませんが、飲み始めてから2〜3ヶ月の間は特に注意が必要です。

 

②放射線治療(放射性ヨード治療)

 甲状腺ホルモンの原料となるヨードに放射線をつけたカプセルを内服することで、甲状腺を壊してしまう治療法です。基本的には1回の治療で終了します。患者さんの希望があった場合や飲み薬でうまくいかなかった場合に行います。

 この治療は核医学の施設がある特定の病院でしか行えず、治療前にはヨード制限食や放射線量の決定など準備が必要です。治療から半年ほどで甲状腺ホルモンの値は落ち着いてきますが、多くの場合は甲状腺機能低下症となり甲状腺ホルモンの内服が必要になります。甲状腺機能低下症の方が機能亢進症よりも管理がしやすいのです。なお妊娠中や授乳中の方、年齢の若い方などはこの治療はできません。

 

③手術治療

 手術によって甲状腺を摘出することでホルモンが作られないようにします。甲状腺の一部を残すこともありますが、全て摘出した場合には甲状腺ホルモンの内服が必要になります。

 最初からこの治療法を選択する方は少ないと思いますが、他の治療法でうまくいかない場合や短期間でホルモン値を安定しさせたい場合、甲状腺に腫瘍(特に癌)を合併している場合などに選択されます。

 

橋本病(慢性甲状腺炎)について

 橋本病は慢性甲状腺炎ともいいます。バセドウ病と同じく自己免疫によって甲状腺が刺激されますが、徐々に甲状腺が壊れていくことでホルモンが作れなくなる病気(甲状腺機能低下症)です。甲状腺ホルモンが少なくなると、元気がなくなったり、低体温、浮腫、時には昏睡など重篤な症状をきたすこともあります。

 診断は採血検査とエコーで行います。甲状腺ホルモンが低下していること、サイログロブリン抗体、TPO抗体の上昇を確認することで診断が確定します。エコーでは甲状腺が腫大(時に萎縮)していたり内部にムラがあったりします。

 治療は甲状腺ホルモンの内服になります。橋本病であっても甲状腺ホルモンが低下していない場合には治療の必要はありません。そのような場合には年に1〜2回程度、甲状腺ホルモンのチェックを行います。

 

甲状腺腫瘍について

 甲状腺には腫瘍(できもの)ができることがあります。良性のものもありますが癌ができることもあります。診断にはエコー検査を行いますが、癌が疑われる時にはさらに詳しい細胞診という検査が必要です。細胞診は甲状腺に直接針を刺し、細胞を吸引して、それを顕微鏡で確認する検査です

 

当院で行う甲状腺治療

 バセドウ病や橋本病などの甲状腺ホルモンの病気を診断して治療します。甲状腺ホルモンの検査は当日中に結果が出ますが、診断に必要な抗体の検査は結果が出るまでに数日かかります。

 バセドウ病の場合、飲み薬の治療は当院で行えます。経過などから他の治療法がよいと考えられた場合には、治療方針を患者さんと相談して決定します。放射線治療や手術治療を行う場合には専門医療機関に紹介させていただきます。

 甲状腺腫瘍については当院でエコー検査を行います。腫瘍の大きさや形などから癌が疑われる場合には、細胞診検査や手術治療を行うため専門医療機関に紹介させていただきます。

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